アフィリエイトは個人事業税の対象になる? 文筆業とすればOK?

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最近お受けした質問です。

「アフィリエイトは個人事業税の対象になるの? 文筆業・執筆業とすればかからないと言われたけど本当のところどうなの?」

近年よく目に耳にする「アフィリエイト」という言葉ですが、まず「アフィリエイト」とは何か、というところからお話入りますね。

1.アフィリエイトとは

「サイト(ブログ)で広告主の商品やサービスを紹介することで、ユーザーが商品を購入するなどの成果があがった場合に報酬(広告収入)を受け取ることができる仕組み」
「企業の商品を自分のブログやサイトで宣伝し、その成果に応じて報酬が支払われる仕組み」
等と定義されています。
ブログに自動販売機を設置するイメージ、と表現する人もいます。
「広告を出して手数料を獲得するビジネス」という表現がわかりやすいでしょうか。

アフィリエイトという用語自体はだんだんに浸透してきてはいるものの知名度が高いとまでは言えず、また、アフィリエイトという「業種」はまだ社会に浸透しているとは言い難く確立していないようです。

2.文筆業とすれば事業税はかからない?

事業税は地方税であり都道府県に納付しますが、個人事業税の場合は個人が直接都道府県に申告するのではありません。
所得税の確定申告をすることによりその申告内容が地方に回り計算がなされ、課税されます。8月に都道府県から納税通知書が届き、8月と11月の2回で納付するようになります。

所得税の課税対象とはなっても事業税の対象とはならない業種、というのが存在します。
事業税の対象となる法定業種には70の業種があり、ほとんどの事業が該当しますが、文筆業は対象業種となっていません。
ですので、ライター等の文筆業には事業税はかかりません。

今回のご質問は、表題にも書きましたとおり、
「アフィリエイトも文章を書くので、文筆業とすれば事業税はかからないのでは?」
「職業欄に文筆業と書けばアフィリエイトも事業税はかからないのでは?」
という趣旨です。

アフィリエイトを文筆業と言えるか、それが認められるか、ということになります。

事業税は地方税ですので、その辺りの判断は地方(都道府県)によっても異なってくるでしょう。地方によって解釈がばらばらというのも困りものであり、厄介なところでもありますが。

事業内容に「アフィリエイト」と書くと「広告業」の区分となると考えます。そうすると事業税の対象になります。
アフィリエイターの方は「Webサイト運営業」「インターネット事業」「Web広告業」等、また迷ったら「ネットビジネス業」と書くことが多いと聞きます。
いずれも事業税の対象となります。

上述しました通り判断するのは都道府県ですが、
私個人の考えとしては、文筆業として認められる可能性は今は低いと察します。
文筆業としたりすれば、後日問い合わせがくる確率はかなり高いと考えます。

税金を逃れるために事業をごまかして書くことはいけません。
危険な行為であり、その前に認められるものではないと考えましょう。

3.事業税の業種・税率

尚、事業税は、業種により税率が変わります。

第1種事業 5%
物品販売業、保険業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、電気供給業、土石採取業、電気通信事業、運送業、運送取扱業、船舶ていけい場業、倉庫業、駐車場業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理店業、飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、両替業、公衆浴場業、(むし風呂等)、演劇興行業、遊技場業、遊覧所業、商品取引業、不動産売買業、広告業、興信所業、案内業、冠婚葬祭業

第2種事業 4%
畜産業、水産業、薪炭製造業

第3種事業 5%
医業、歯科医業、薬剤師業、獣医業、弁護士業、司法書士業、行政書士業、公証人業、弁理士業、税理士業、公認会計士業、計理士業、社会保険労務士業、コンサルタント業、設計監督者業、不動産鑑定業、デザイン業、諸芸師匠業、理容業、美容業、クリーニング業、公衆浴場業(銭湯)、歯科衛生士業、歯科技工士業、測量士業、土地家屋調査士業、海事代理士業、印刷製版業

第3種事業 3%
助産師業、あん摩・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復その他の医業に類する事業、装蹄師業

アフィリエイトは第1種事業で5%、となるのが一般的かと考えます。

いずれにしましても、事業税は所得が年間290万円(事業主控除)まではかかりませんので、それを超えればの話となります。

しかし不景気の時代となってから、副業だけでなく本業でアフィリエイトに取り組む人も多くなってきました。
いずれ税務面からも対策がなされ、「アフィリエイト」が事業区分に加わる日も来るかもしれません。

「アフィリエイター」が一般的で誰でもわかる職業となる日も近いかもしれませんね。

※本題とは少し外れますがちょこっと豆知識

「では事業税の対象とならない執筆などの所得があった場合、どう書けばいいの?」

個人事業の場合、さきほど書きましたとおり、所得税の確定申告とは別に事業税の申告をするのではなく、所得税の申告内容が地方に回り課税される流れになります。

アフィリエイトは事業税課税対象になるとしても、それとは別に対象とならない所得が、所得税確定申告のときに事業所得の中に合算されているときはどう伝えたらいいの?どう申告したらいいの?合計しちゃってるからわからないんじゃないの?という疑問ですね。

これに関しては、非課税に該当するものの場合は、確定申告書Bの第二表の「住民税・事業税に関する事項」の「非課税所得など」の欄に記入することになります。

さらに、青色申告決算書の3ページ目の右下にある「本年中における特殊事情」にその旨の説明を記入しておくとさらに安心です。