年末調整と源泉所得税の納付 納期の特例制度

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毎年11月ごろから年末調整の時期となります。
企業にお勤めの方は「扶養控除等申告書」というものと、控除証明書その他の書類を会社に提出されたかと思います。

その資料を基に、会社の経理の方や私たち税理士は、年末調整の計算を始めます。

今日は、そもそも年末調整とは?というお話から入ります。

1.年末調整とは

お給料は源泉所得税を天引きして支給します。
しかしその1年間に徴収した所得税の合計額は、その人が1年間に納めるべき税額と、通常は一致しません。

年末調整とは、その、1年間の間に源泉徴収した所得税と、実際に納めるべき所得税の年税額とを一致させる作業のことです。
その調整作業により、両社の差額(過不足額)の精算をします。

過納額の還付又は不足額の納付となりますが、多くの場合は前者の過納額の還付になります。

つまり、預かりすぎた源泉税を従業員に還付し、その還付額を差し引いた源泉税を税務署に納付します。
(還付額が1月の税務署への納付額を上回った場合のお話は今日は割愛します。)

ではその源泉税の納付の特例制度についてのお話を少し。

2.納期の特例の承認申請

源泉所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国に納めなければなりません。
しかし、納期の特例を受けている場合は、源泉所得税を半年分まとめて納付することができます。

特例を受けられるのは給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者であり、特例の対象となるのは、給与や退職金の源泉税と、税理士、弁護士、司法書士などの一定の報酬からの源泉所得税に限られています。
この特例を受けるためには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出する必要があります。

3.ゼロ納付

尚、源泉所得税は、納付する税額がない場合でも、給与支払額等を報告するため、0円の納付書を税務署に提出する必要があります。これをゼロ納付と呼んでいます。
納付書をよく見ると、「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」と記載されています。
納付のためだけのものではないということですね。
年末調整後の源泉税納付については、従業員への還付後となりますのでゼロ納付となることもままあります。
ゼロ納付の場合は、金融機関では受け付けてくれませんので、税務署の方に提出してください。
持参でも郵送でも、e-taxでも可能です。

4.特例を受けている場合の納期限

この納期の特例を受けている場合の、上半期の納期限(1月~6月までに源泉徴収した所得税の納期限)は、7月10日になりますが、
下半期の納期限(7月~12月までに源泉徴収した所得税の納期限)は、10日ではなく、1月20日です。

以前は1月10日で、「納期限の特例」を受けている場合に1月20日、となっていたのですが、
平成24年7月1日以後に支払うべき給与等から、この「納期限の特例」がなくなり、納期の特例を受けている場合は、納期限が1月20日に一本化されました。

但し、納期の特例を受けていない、つまり毎月納付の事業者は、従来どおり、12月分については1月10日が納期限になりますのでご注意ください。