売上の過少計上は最も悪質な脱税行為

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こんにちは。売上の計上についてのお話です。

売上から原価・経費をマイナスして利益を出す、というのが会計の基本です。
その売上を正しく計上するということは、帳簿をつける上で最も重要であり基本的事項でもあります。

その売上を少なく計上することは、最も悪質な脱税行為とされます。
売上が正しく計上されているかどうかは、税務調査でも必ずチェックされる項目です。

わざと売上の金額を少なくしたり売上伝票を抜いたりすることはもってのほかの行為ですが、売上をうっかり計上漏れしてしまうことは、ごくたまにはあることかもしれません。
計上時期を間違える等もありえますが、売上に計上すべきものと認識していなかった、または計上する金額が間違っていた、ということもあるかもしれません。
しかしそれも調査の際には売上計上漏れと指摘され、うっかりでは済まされないことも多々あります。

例えば、事業として販売する商品を自分や家族で消費した場合、会社で仕入れたものを従業員に安い価格で売った場合、などがあげられます。

1.自家消費

自家消費、というものがあります。
事業で仕入れた商品や材料を事業主やその家族が使うことです。
例えば飲食店を経営する店主が、仕入れたビールを自分で飲んでしまった、というようなケースですね。
個人事業での用語ですね。

商品は、お店で販売すれば販売金額が売り上げとなりますが、自分で消費してしまったら売上金額はゼロです。
ゼロだから計上しなくていい、と思われるかもしれませんが、仕入れ金額(又は経費)には計上しているのですから、ん?何かせなあかんのちゃう?という感覚を持って頂きたいなと思います。
そうです。ただで消費しても、売上計上をしなければなりません。

所得税法では、
仕入金額とその販売価額の70%とのいずれか高い金額以上の金額を計上した場合はこれを認める、とされています。

2.社内販売

自家消費は個人事業でのお話ですが、法人の場合の似たようなケースで社内販売があります。
仕入れた商品を従業員に安く販売する、というものですね。
この場合も、販売価額を決める際に注意が必要です。
法人税法・消費税法では、仕入金額と、その販売価額の50%以上の金額で計上した場合はこれを認める、とされています。
それより低い金額で販売したときは、その差額が給与とされることもあります。

このように、通常に販売した場合以外にも売上となるものがありますので、その金額も含めて注意する必要があります。
原則は通常販売する価格で計上することとされていますが、通常は安く又はタダとされるものですから、通常価格での計上はおかしいという社会通念上の常識から定められた一定の基準が、上記のものです。
所得税も法人税も消費税も、いくらで売上に計上しなさい、とまでは言っていません。あくまでも一定の基準です。税務当局の解釈によるものではありますが、しかし妥当性安全性を考えて上記の基準に従うべきものと考えます。