医療費控除 従来型の場合

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確定申告で最も適用する人が多い医療費控除について、何回か書いていきます。
医療費控除を受けたいがために確定申告をする、という方も非常に多いです。

まずは従来からある医療費控除について。

2017年から始まった医療費控除の特例、セルフメディケーション税制については次回以降にお話しします。

1.医療費控除の概要

医療費控除というのは、医療費負担額が原則10万円(所得が200万円未満の場合は所得の5%)を超えた場合に、確定申告をすると税金が戻ってくる、という制度です。
所得から控除されますので、所得税だけでなく住民税も少なくなります。
家族全員の医療費負担額を合計し、対象となる場合は確定申告をしましょう。
所得税が少なくなる、というケースもありますが、医療費控除の場合は還付申告となるケースが多いです。
医療費控除に限らず、還付申告は5年前までさかのぼって申告することができます。

2.還付されるのは医療費ではなく税金

払った医療費が戻ってくるように勘違いされるケースがよくありますが、戻ってくるのはあくまでも、その年にすでに払った(又はこれから払うべき)税金です。
従いまして、その年に所得税の納税が発生しない場合は、医療費が10万円を超えても、医療費控除によって戻ってくる金額はありません。

3.医療費控除額の求め方

1年間に支払った家族の医療費の総額
- 保険などで補填される金額(健康保険の高額療養費や生命保険の給付金など)
- 所得200万円以上の人は10万円、所得200万円未満の人は所得金額の5%

が、医療費控除額となります。最高で200万円までです。

4.支払った医療費の範囲

支払った医療費は、その年の1月1日から12月31日までに支払った本人と家族の医療費の総額です。

本人と、生計を一とする親族の医療費を合算します。
たとえば扶養していなくても同居している親の医療費を支払った場合もOKです。
また、生活費の仕送りをしている大学生の子供や、故郷で暮らしている親に仕送りしている場合の親も、生計を一とする親族とされますので、その医療費も含めることができます。

治療は受けたけどまだ支払っていないなど、未払いの医療費は含めません。実際に支払った年の医療費に含めます。

5.漢方薬や市販薬等の場合

セルフメディケーション税制ではなく従来からの医療費控除を選択した場合です。

従来の医療費控除では、薬局等で購入した漢方薬や市販額の場合は、医療費控除の対象となるかどうかは、下記の基準に寄ります。

・医師の指示等により治療や療養に必要な薬は医療費控除の対象となる
・健康維持や美容目的のための薬は医療費控除の対象とならない

ただし、風邪薬など実際に治療のために購入した薬であっても、単なるレシートだと認められないケースも多いため、金額や日付の他にその薬の名称や使用目的などを領収書に書いてもらうようにしましょう。
漢方薬の場合も、できるだけ医師の処方等により購入するのがこの制度を受けるうえでは安全で望ましいですね。

6.通院のための交通費

通院のための電車やバス代は医療費控除の対象となりますが、タクシー代は、タクシーでなければならなかった場合のみ対象となります。
電車やバスで行けるにもかかわらずタクシーを使った場合は認められず、急病や歩行困難その他やむをえない事情がある場合には認められる、ということになります。
領収書は保管しておきましょう。

また、小さいお子さんの場合等付き添いが必要な場合には、付き添いの人(親など)の交通費も通院費に含めることができます。

尚、車で通院した場合の駐車場代やガソリン代は通院費に含めることはできません。

7.添付書類の改正 領収書は提出不要となりました

これまでは、医療費控除の適用を受ける場合は、医療費の領収書を添付又は提示することとされていました。
(e-taxの場合は提出を省略することもできましたが。)
2017年からは、領収書の添付・提示に代えて、医療費の明細書又は医療保険者等の医療費通知書を添付しなければならない、とされました。
セルフメディケーション税制の場合も同様です。
ただし、平成29年から平成31年は経過措置対象年として従来通りの領収書添付でもOKです。

この、医療費控除の添付書類の改正については、詳細は次回以降にお話しします。