お正月も終わり、仕事始めから数日。通常モードに戻っております。
今年もブログたくさん書いていきます。
読んで頂いて少しでもお役に立てればとても嬉しく思います。
よろしくお願いいたします。
今年最初の税務会計ネタは、これ。
最近受けた質問シリーズの第2弾です。
旅行ブログで広告収入を得ている場合の旅費は経費になるのかどうか、というお話です。
前回と同様、ネットビジネス系のご質問ですね。
普段は本業で働いていて週末等に副業で旅行ブログを書く、といったようなケースもあるかと存じます。
このご質問を受けたとき、「もちろん経費になるでしょう」が、率直なお答えでした。
1.経費というのは売上をあげるために要した費用
旅行ブロガーさんの場合、売上を得るメインの手段が「旅行コンテンツを作成し読者に見てもらうこと」だと思いますので、そのコンテンツ作成のために旅行そのものが必要となります。
必要経費というのは「収入を得るために直接要した費用」とされています。
今回の旅費は「売上をあげるための記事やコンテンツを作成するために出かけた際の交通費・宿泊費」ですので、経費になると私は考えます。
ただし、経費となるのは自分の分のみです。家族と行ったとしても家族の分は原則経費にはなりません。
またブログ記事作成以外にも目的がある場合やは全額が経費とは認められません。
2.調査に入られた場合に備えて
税務調査に入られた場合は、海外渡航費は必ずチェックされる項目です。
そのとき、今回のようなケースの場合は、例えばブログ以外にも目的があったかどうか等は、旅行の内容や回数等からの事実認定という問題になるかと考えます。
もし、例えば本業はサラリーマンで、副業としてブログで収入を得て海外渡航費の多額の計上により事業所得を赤字にし、給与所得と事業所得の損益通算により多額の還付を受けているような場合は、やはり税務署にとっては多分に目を付けるポイントとなるでしょう。
今回のケースに限らず、海外出張など特に旅費が多額となる場合は、日程表など行程を記載したものを保管しておくようにいつも申し上げております。
3.海外渡航費の考え方
税法上は海外渡航費の考え方は以下のようになっています。
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海外渡航に関して支払う旅費(日当、宿泊代などを含む。以下同じ)は業務上必要なものであり、かつ、適正な金額は旅費として経費となる。
ただし、
・業務上必要ではない旅費の額
・業務上必要である旅費の額のうち、適正額を超える部分の金額
は、原則として給与となる。
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海外渡航費も通常の出張旅費と同様、事業のために必要なものであれば経費として認められます。ただし業務に関係ない部分は経費にはなりませんし、不当に多額な場合は、業務上必要な旅費であっても否認される可能性はあります。
上記のとおり、私は今回のケースは必要経費になると考えますが、いずれにしましても指摘される可能性はあります。
こういったアフィリエイト関係に関する税務はまだ確立されていないと言えますので、グレーな部分というのがどうしても出てきます。
そういった場合は専門家に相談することをお勧めしますし、経費とする場合は第三者を納得させられるだけの説明資料を用意しておく必要はあります。
※ご質問そのものとは外れますがプラスα、消費税のこと
プラスαではありますが大事な話です。
必要経費として認められるとしても、消費税に関しては別の扱いになります。
旅行ブログによる広告収入は、「国内において事業者が事業として対価を得て」行った取引による売上ですので、消費税法上の課税売上となります。
一方、海外への渡航費は輸出免税というものの適用を受けるため、特別なものを除き課税仕入れとすることはできません。
また海外での宿泊費は国外取引となり、消費税の課税対象外ですので、こちらも課税仕入れとはなりません。
ブログによる売上は消費税の課税対象となるのに、それに必要な海外関係の渡航費宿泊費は消費税の課税仕入れにはならない、ということです。
消費税の課税事業者であり、簡易課税の適用を受けず本則課税にしている場合は、このことも考慮に入れておかなければなりません。
(消費税関係の専門用語についての説明はここでは割愛させていただきます。要するに売上は消費税の課税対象だけど経費は課税仕入れとして差引くことはできない、ということです。)